第79章 *終焉ゲーム*
イデア『..ハッ..!?』
何度目かの呼びかけについに目を覚ましたイデアは、バッと勢いよく体を起こした
ヴィル『やっと目を覚ましたわね。さあ、早くケルベロス・システムを復旧させるのよ』
イデア『ぼ、僕は一体..?いや、それよりオルトは?』
ヴィル『..残念だけど、オルトは救えなかった。あたしには冥府に落ちたあんたと、グリムを引っ張り上げるのがやっとで..』
イデア『えっ!!!??だ、誰!?』
目の前に現れた見慣れない老人に、目が飛び出るほど開きながら驚愕に全身を震わせた
ヴィル『失礼ね、あたしよ。ヴィル・シェーンハイト。ポムフィオーレ寮長の証たる、このティアラが見えないの?』
イデア『えっ、は..な、なんでそんなしわくちゃに?』
ヴィル『しわくちゃですって?失礼ね!伝統と歴史を感じる姿だと言ってほしいわ』
エペル『..ヴィルサンは、イデアサンたちを追いかけて冥府に飛び込んだんだ。それで、こんな姿に..』
イデア『ぼ、僕を追って冥府に?なんだってそんな無茶を..』
ヴィル『イデア。あんたには冥府の門を閉じ、ケルベロス・システムを復旧してもらわなくちゃならない。そのために、あんたを冥府から連れ戻したのよ』
イデア『ヴィル氏。完璧なCGみたいだった顔がしわくちゃに..腰も曲がって、髪もバサバサ..』
すっかり変わってしまった姿に憐れみのような視線を向ける。だが、ヴィルは腰に手を当てながら"ふん"と鼻を鳴らした
ヴィル『それがどうしたって言うの?例え汚泥にまみれ、老いて痩せさらばえた姿になったとしても..今この時、あたしは世界で最高に美しい』
『『..!!』』
それはあの日、そう思うことができたならばそれは誰にも何にも覆せない、とルークがヴィルへと贈った言葉だった
堂々たる姿と声に、まるでスポットライトが照らしているかのように、ヴィルは眩しい輝きを放っていた
ヴィル『さあ、イデア。自分がしたことの落とし前をつけてもらうわ』
イデア『....』
目を閉じて床に置いた手をそっと握りしめる。何度かの呼吸を重ね長い沈黙を貫いた後、そっと目を開けて口を開いた
イデア『分かったよ、僕たちの負けだ。
...ゲーム・セット・マッチ..開かれた冥界の扉』