第78章 *最終決戦*

『『！！！』』


『ヴィルさんは絶対にグリムとお月様を助ける。だから、私達はそのヴィルさんを助けるの。闇の手なら少し離れてても届かせられるけど、ここからじゃ届かない。だから、早く！！』


エペル『分かった！！しっかり掴まってろ！！』


普段見ないほどの気迫に、エペルは背を押され表情を固く引き締めると、ハンドルをとるとチャリオットを一気に下降させた


冥府への距離が縮むに連れて、瘴気の濃さが増し全員に重くのしかかる


『ゔぅ..』


ユウ『ヴィル先輩の姿がまだ見えない。でもこれ以上降りていくのは..』


ルーク『降りる必要はないよ！ヴィルの姿が見えてきた！』


よく目を凝らすと、冥府の底から人影がこちらへと上がってきているのが段々とはっきり見えてきた


『良かった、ヴィルさ..え？』


エペル『は？』


ルーク『え？』


ユウ『はぁあああ！？』


ようやく姿がはっきり見えたことによって、4人は目の前の光景に唖然とした


ヴィルの姿が余りにも様変わりしていたからだ。


美しさの象徴だったような華やかな顔立ちが、シワだらけよぼよぼの老人となり、イデアとグリムを抱えた腕も枯れ木のような有様だった


『ヴィルさん..？あ、じゃなくて..今引っ張るから待ってて！』


すぐさま闇の手を伸ばして3人を包み込むように受け止めると、自分たちのところまで引き上げた


ヴィル『助かったわ、ありがとう』


『『『！！？？』』』


見た目だけでなく発せられた声まで老人のようにしゃがれ、よろよろと立ち上がった体勢も、普段はものさしを入れているのではと思うほどピンと真っ直ぐに伸びた背筋も曲がっていた


ルーク『ヴィル、その姿は..』


ヴィル『話は後よ。早く上昇して第1層まで戻りなさい』


エペル『あ、は、はぃ..』


未だに信じられないといった顔のまま、ハンドルを握りチャリオットを上昇させた






ルーク『二人共目を覚まさないね』


ユウ『グリムはともかく、イデア先輩に関しては殴れば目覚めるんじゃないんですかね？絶対目覚めますよ、そうですよ、そうですよね、よし殴りますよ』


エペル『待て待て待て！！今のユウが殴ったら目覚めるどころか死んじまうって！！』


ヴィル『普通に揺らして起こすわよ


ーーーイデア！！』