• テキストサイズ

【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第77章 *第1タワー Ⅱ*







『『...』』


その言葉に誰もが口を閉ざし、複雑な思いを巡らせる。今自分たちがしようとしていることが、その"普通"を求めて世界のリセットを行使する二人の思いを壊すということに


ヴィル『でも、現実はいつだってあたしたちに厳しい。あたしは、あたしのためにあの兄弟のささやかな夢を砕きにいく。あいつらも全力であたしたちの夢を砕きに来ればいい。


誰かのハッピーエンドの裏では、誰かが泣いてるものよ..


どっちが泣いても、恨みっこなし、だわ..』


ここまでの疲労とようやく一息つけたことによる安心感から、深く落ちるような眠気に襲われていく。段々と抑揚のなくなる声に重い瞼がゆっくり下がっていき、やがてヴィルから穏やかな寝息が聞こえ始めた


ヴィル『すー...』


エペル『ヴィルサン、寝ちゃった..』


ルーク『ここまで戦いの連続だったんだ。少しだけ寝かせてあげよう。3人も休むといい。もう冥府は..イデアくんたちとの戦いは、目の前だ。僅かでも体力と魔力を回復しなくては』


ユウ『はい』


エペル『はい..ふあぁ..』


大きな欠伸を一つすると、座っていた備え付けのソファーに横になり、5分もしないうちに夢の世界へと旅立った


ユウ『エペルくんも寝るの早。レイラ、こっちに来て一緒に寝よ?』


両腕を広げて誘う。少しの間の後、立ち上がり近づいてくるが、その首は静かに横へ振られた


『少し、もう少し起きてる』


ユウ『レイラ..後でちゃんと休むんだよ。それと、余り思いつめないで。みんな、レイラのこと大好きだし頼りにしてるんだから』


『...ん。ユウ、ごめんね。助けられてばっかりで』


ユウ『僕の役目は戦いの手助けとグリムを見つけて連れ帰る。そして、君を守ることだから』


抱き寄せて頬にキスを落とし、柔らかい笑顔を見せる。それが今ユウにできる最大限の慰めだった


『ありがと..おやすみ、ユウ』


ユウ『おやすみ』














『はぁ..』


ユウが眠るのを見届けると、非常保存食のスペースに置かれていた水の入ったペットボトルを1つ拝借すると、軽く一口喉に流し込んで渇きを癒やす


そして眠りにつく3人の輪から外れるように、部屋の壁の隅で膝を抱えて座り込んだ


『(泣きそう..)』





/ 1858ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp