第77章 *第1タワー Ⅱ*
ユウ『無理しちゃだめだよ..っとと』
『ぅぅ..』
ユウの手助けを断り無理矢理立ち上がるも、ぐらりと視界が揺れて体が傾く。既のところでユウが支えたことで地面との衝突は免れた
ユウ『ほら言わんこっちゃない。強がらなくていいんだよ。こういう時こそ周りに頼ってくれないと』
『..ごめん。ごめんなさい..』
すっかり耳をぺしょっと下げて落ち込み、そのまま横抱きにされるのを抵抗することなく身を委ねた
ユウ『よく頑張ったね』
『....』
ねぎらいの言葉にも口を閉ざしたまま、ユウの胸元をギュッと握るだけだった
S.T.Y.X第1タワー-格納庫
雷霆の槍を充電ステーションに設置し終えると、近くの椅子に腰掛けて全員安心の一息をはいた
ヴィル『さっきの一撃でとどめを刺せてないとは考えたくないけど..万が一のために雷霆の槍の充電はしておきましょう。でももうフル充電を待っている時間はない。半分ほど充電したら出発するわよ』
エペル『あっ、応急処置用の魔法薬セットが置いてあります!ルークサン、腕を出してください』
ルーク『ありがとう、ムシュー・姫林檎。でも君もヴィルもユウくんもレイラくんも、擦り傷だらけだ』
応急用と書かれたボックスに入っていた魔法薬を取り出すと、エペルは手際よくルークの治療を始めた
『(ぁ..言い出せなかった。ほんとは私が狩人さんを治してあげなきゃいけないのに)』
ヴィル『はぁ..全身埃まみれだし、服もボロボロ、髪もボサボサ。早くここから脱出して、お気に入りの入浴剤を入れたお風呂に浸かりたいわ』
寮服についた埃をパッパッと払い、セットが崩れかけた髪を手ぐしで直しながら、大きなため息をついた
ユウ『僕らも帰ったらお風呂入ろうね』
『ん..』
ヴィル『その後、あんたたちが持ってきてくれたスキンケア用品でたっぷり保湿をするの..なんだか数日前まで"普通"だったことが、夢みたいに感じる。
イデアも、オルトも..あたしたちと同じで、"普通"の生活を求めているだけなのかもしれないわね。友達を家に呼んで一緒にゲームをしたり、星を見ながら将来の夢を語り合ったりする..
そんなささやかな"普通"を』