第77章 *第1タワー Ⅱ*
ヴィル『ちょっと、そんな興奮しないでちょうだい。その勢いで飛びつかれたらあたしたちもたまったもんじゃないわ』
ルーク『ああ失礼。あまりにも素晴らしい攻撃だったから、つい興奮を抑えられなかった。それにしても、やはり君は優秀な魔法士だ』
エペル『僕も負けてられない、かな』
『みんな..怖くない?やじゃない?』
ヴィル『あたしたちの話聞いてた?怖くないし、嫌でもないわよ』
不安げに瞳を揺らすレイラの頭を撫で、ルークたちの方へ体を反転させる。レイラの視界に映ったのは、自分を優しく見つめる暖かな視線だった
『...あ、ありがとみんな』
ユウ『ほらね、大丈夫だったでしょ?』
『ん。ユウもありがと。ねぇ、ユウは怖くなかった?』
ユウ『全然。むしろレイラはまた強くなったなぁって呑気に思ってたほどだよ。緊張感なくてごめんね?』
『..優しいね』
ユウ『思ったこと言っただけだよ』
向けられた笑顔につられて、ようやくレイラにも安心した笑みが浮かんだ
ヴィル『レイラの不安も払拭できたところで、先へ進むわよ』
エペル『あっ、さっきの話の続きを聞かせてください!』
ルーク『さっき..?何の話をしていたんだっけ?』
『サバナクローだったときのお話』
ユウ『もっと詳しく説明してくださいよ』
ルーク『ああ、その話か!』
思い出したようにポンと手を叩くと、昔話を聞かせるようにゆったりとした口調で語りだした
ルーク『入学式で闇の鏡が私に選んだのは、サバナクロー寮だったんだよ。私自身、百獣の王の不屈の精神には共感するところも多い。だから寮分けには、なんの疑問も持っていなかった。実際、サバナクローではとても楽しく有意義な時間を過ごしていたしね』
エペル『えっ。じゃあ、何でポムフィオーレに転寮したんですか?』
もったいな..と呟くと隣から突き刺すような視線を感じ、慌てて言葉を濁した
エペル『いやっ、その、気質に合ってたなら、わざわざ転寮しなくたってよかったんじゃない..かな?』
ルーク『もっと深く美への理解を深めたくなったからさ。勿論サバナクローに所属しままでも、独自に美を追求し続けることはできたかもしれない』