第77章 *第1タワー Ⅱ*
エペル『あ、このケージ..854って数字がふってある』
ヴィル『研究員が言っていた800番台のケージね。開けましょう』
ルーク『解錠は私が。みんな、下がっていて..はぁっ!!』
魔法でケージの鍵を壊すと、辺りにブロットの黒いオーラが広がり、中から飢えた声が響く
?『ハラ..ヘッタ..ニク..クワセロ!!』
中から飛び出してきたのは中型の二匹のファントムだった。鋭い爪を振りかざし一行へと飛びかかる
『『『!!!』』』
ルーク『レイラくん!』
『分かった!』
ルークの声に合わせてペンを振るい闇の手で二匹のファントムを掴み上げ拘束する
?『ハナセェェェェ!!』
激しく暴れるファントムだったが、更に下から這い出てきた闇の手が何本も重なり完全に身動きが取れなくなった
ヴィル『今のうちね!』
『私がやる』
ヴィル『え』
『はっ!!』
ペンを下に向けて魔力を込めると、ペン先から黒い閃光が放たれた床に吸い込まれていく。すると突然、闇の手が掴んでいたファントムを上に放り投げた
エペル『な、なにやっでんだ!んなごどしだら..!』
『大丈夫、逃さないから』
開放されたファントムは空中でバランスを崩しながらも、反撃しようと瓶の顔をこちらへと向ける。再び襲いかかってくるとエペルたちが身構えた
次の瞬間、闇の手とは別の地点からいくつもの黒いシミのようなものがブワッと滲み出し広がっていく。すると、そこから何本もの鋭く長い棘のようなものが突き出し、ファントムの体めがけて四方から貫いた
ザクザクザクザクッ!!!!
『『『!!!??』』』
?『ギィァアアアア!!!イタイ..イタイ"ィィィイイイ!!!』
串刺しという残酷な光景とファントムの痛烈な叫び声に、恐怖とも呼べる身の毛がよだつ感覚が4人を襲った
?『オナカスイタ..オナカ、スイタヨォ..』
泣き叫んでいるかのような最後の言葉をこぼすと、ファントムはインクとなって溶けていった
それを見届けると棘と闇の手はしゅるりと引っ込み、辺りにはシンとした静寂が漂った