第77章 *第1タワー Ⅱ*
研究員の情報通りに800番台のケージを片っ端から開けては、中のファントムを倒すこと数回目。未だにIDカードは見つかっていなかった
ルーク『兎の君、疲れていないかい?』
『大丈夫。狩人さんは?』
ルーク『私もまだ大丈夫さ。それにしても、休んだとはいえ再びここまで連戦を続けてきたというのに..君はやはりとても強い女性だ。先程も私やヴィルの危機を救ってくれた。このお礼は、学園に戻ったら必ず』
『ううん。私もみんなに助けてもらってるからおあいこ。それに、魔法の練習になってちょっと嬉しい』
ルーク『!!君って人は..ふふ、ますます君に興味が湧いてきたよ』
『あ、今の話ヴィルさんに内緒ね。多分こういうこと言ったら、怒られ..』
ヴィル『悪いけど聞かせてもらったわ』
『あ゜』
背後から刺すような視線と寒気にビクッと体を震わせ、ギギギと機械じかけのように首だけ後ろを振り返ると、ギロッと鋭い視線で見下ろすヴィルと目が合った
ヴィル『こんな危機的状況なのにあんたって子は、どうしてそうなのかしらね?何が魔法の練習よ。油断してたらあんたみたいなほっそいウサギなんて、あっという間にファントムの餌食にされるんだからね』
分かってるの!?と両頬を強く摘まれ、まるでいつも自分がする"ほっぺたムニムニの刑"に処された
『むぃぃぃ〜〜..ご、ごめんなひゃい』
エペル『レイラチャン!?』
ルーク『まあまあヴィル。その辺にしておいてあげるといい。裏を返せばそれだけまだ心にも体にも余裕があるということだよ。それはこの状況下においてとても大事なことさ』
ヴィル『はぁ..まったく。次そんなこと口走ったらこれじゃ済まないと思いなさい』
『はい..』
手を離されると、ヒリヒリ痛む頬からを押さえて一目散にユウの元へ駆け寄った
『ぅぅ..』
ユウ『見せてごらん。ありゃりゃ、赤くなっちゃったね。よしよし..』
抱きしめてあやすように撫でてやると、甘えるようにグリグリと肩口に額を擦り寄せられた
『ユウ、好き』
ユウ『僕も大好きだよ』
『私、悪い子?』
ユウ『ちょっと今回は悪い子だったかな』
『むぅ』
ユウ『でも良い子だよ』
『〜♪』