第77章 *第1タワー Ⅱ*
視界が戻った研究員は、目の前に立っている人物たちが全く予想できなかった面々であることに、驚きで目を丸くさせた
?『き、君は..ナイトレイブンカレッジから連れてこられた被検体と、島を襲撃したっていう..』
ヴィル『ええ、そうよ。被検体Eこと、ヴィル・シェーンハイト。こっちは、嘆きの島に珍事件の主犯として名前を刻まれたであろうルーク』
?『君たちはなぜここへ?』
ヴィル『詳しい経緯は割愛するけど、この事態を収束させるために冥府へ向かっているところよ。あなたこそ、どうしてこんなところに?』
ヴィルたちが研究員から事情を聞く中、レイラは少し離れたところでピンと耳を立てて周囲の警戒を続けていた
『(音..聞こえる。やな声..でもケージからはまだ出てないみたい)』
研究員から扉を開けるためのIDカードがどこかのケージに入っていることを聞いたヴィルたちは、前と同様に順にケージを開けていくことにした
ヴィル『じゃあ、まずは..レイラ』
『!ごめん、なに?』
自分たちに背を向けて警戒を続けていた肩にポンと手を置いて名を呼ぶと、小さく驚いたあと急いで振り返る
ヴィル『話聞いてた?』
『..ごめん、聞いてない』
ヴィル『重要な話だったんだからちゃんと聞いておきなさい。でも、助かるわ。あんたがそうやって優れた聴力で周りを警戒してくれてたら、ファントムたちの襲撃をいち早く察知することができるんだもの』
ありがとう、と優しく撫でられ、温かい感触に目を細めた
『んふふ..あっ、それでこれからどうするの?』
ユウ『さっきの人が言うには、このケージの800番台のどれかにIDカードが入ってる可能性があるんだって。それをこれから手当り次第探していこうってさ』
『ん、分かった』
ルーク『ここに来るまでにも様々なファントムと戦ってきたけれど..ファントムにも獣種や甲殻種などの分類があるんだね。実に興味深い』
新たな発見に気分が上がったのかニイッとハンターグリーンの瞳を細めると、狩人の名に相応しいギラついた光が帯びる
エペル『うっ。ちょっとワクワクした顔するの、やめてほしい..かな』
ヴィル『過ぎたる好奇心は災の元よ、ルーク..それじゃ、気を取り直してIDカードを探し始めましょう』