第77章 *第1タワー Ⅱ*
プシュゥゥという音と共に、雷霆の槍の充電ステーションから、充電完了を告げるアナウンスが流れた
ヴィル『槍の充電が終わったようね』
ルーク『十分な休息も取れたところで、先を急ごう』
エペル『これから先は、もっと強いファントムや、タイタンと遭遇するかもしれないんですよね。魔法を使うと腹が減るし、携帯食料をたくさん持っていこう!』
ユウ『グリムもお腹空かせてるだろうし』
『私も持ってく』
ユウ『体調はどう?』
『ん、いっぱい寝たから大丈夫』
小さく頷きユウの手を握る。すると優しい力で握り返され、見上げるその顔には嬉しさと愛しさが溢れていた
エペル『ユウクン、そっちにこれも入る?』
ユウ『うん、入るよ』
ルーク『うんうん。備えあれば憂いなしだ』
ヴィル『マップによると、2階層下にも物資の格納庫があるわ。槍も運ばなきゃいけないんだから、欲張って荷物を増やすのはよしなさい』
エペル『は、はぁ〜い..』
ヴィル『あんたたちもよ』
ユウ『はい..』
『むぅ』
S.T.Y.Xタルタロス-非常階段
準備を整えた一行は、再びタルタロス内の非常階段を降りるために歩きだした
強力なタイタンに対抗できる唯一の武器である雷霆の槍は、充電が完了した際に省エネモードに切り替わり、あの畏怖を感じさせる魔力は帯びておらず、ただの大きな槍として軽い魔力で浮かせることができた
エペル『あっ..ヴィルサン!槍を運ぶ役目、僕がやります。魔法で荷物を運搬することは、実家の手伝いで慣れてるんで』
ヴィル『あら。急に荷物持ちを申し出るなんて、どういう心境の変化?』
エペル『収容所の中でもさっきのタイタンとの戦いでも、僕、あまり役に立ててなかったので..荷物持ちくらいはさせてほしいっていうか..』
ヴィル『ふん。この程度の荷物運びで疲弊すると思われてるなんて、なめられたものね』
エペル『そ、そういうことじゃなくて..ヴィルサンたちには、いざというときのために少しでも魔力を温存しておいてほしいんです!僕やユウクンは、先輩たちやレイラチャンほど戦闘では役に立てない。だから、せめてそうじゃない時くらいは役に立ちたい..かなって』
ユウ『荷物持ちくらいは任せてください。腕力には自信あるんで』