第76章 *第1タワー*
プツンと通信が切れると、研究員を助けるために5人は急いでケージを調べることにした
エペル『研究員さん!居場所が分かるように声が音を出してください!』
ルーク『レイラくん、君の聴力が頼りだ。研究員の発する音を頼りに、居場所を特定するんだ』
『ん、任せて』
?『..ここよ..助けて..』
『えっと、場所は..』
ガリガリガリ!!!
『『『!!!』』』
エペル『周りのケージからも音がし始めた』
ヴィル『まずいわね。あたしたちの気配に反応して、ファントムたちも活動し始めたかもしれない』
ルーク『このケージの壁はかなり分厚い。声が聞こえるということは、研究員はそれほど遠くにはいないはず』
エペル『急いで見つけ出しましょう!』
『....』
視線が重なり合ったエペルと頷き合うと、目を閉じて聴覚を集中させる。すると、助けを求める声の方向が次第にはっきりと確信に変わっていくのが感じ取れた
『...あっち』
ゆっくりと1つのケージを指差すと、早速全員でそのケージへと走り寄った
?『..けて..さむい』
ルーク『今の声は..!研究員さん、そこにいらっしゃるのですか?』
?『はい..ここです..はやく..はやくあけて』
中から聞こえる悲痛な声に、このケージだと確信したヴィルはペンを構える
ヴィル『扉からなるだけ離れて、身を伏せていて!いくわよ!はあっ!!』
放たれた魔法がズガン!と音を立ててケージの鍵を破壊した。開け放たれた扉の奥から一つの影がゆらりと動く
エペル『大丈夫ですか!?』
『!!待って林檎くん。近づいちゃだめ!』
エペル『え?』
?『ああ、やっとデられタ..!』
その時、溜め込んでいたものが溢れ出したように、禍々しい瘴気と寒気が5人の足元を流れていく
エペル『!?このケージ内に充満した瘴気は..!』
?『あたし、ジユウよ!アハハハ!ヒャハハハハ!!』
ヴィル『二人共下がりなさい!それは研究員じゃない!ファントムよ!』
『林檎くんこっち!』
エペルの腕を掴み急いでヴィルたちの後方へと駆け戻ると、ヴィルたちは狂気の声を上げながら迫りくるファントムと対峙した