第9章 *単独レギオン*
ガチャンと閉められたハーツラビュル寮の門の内側、静寂を取り戻したパーティー会場では、リドルが先程のことに苛立ちを見せるも、パーティーの仕切り直しを行っていた
そんな彼の傍らで
ケイト『...お前、ほんとにこれで良かったわけ?』
トレイ『...俺にはどうすることも出来ないよ』
ケイト『レイラちゃん、泣いてたね...』
トレイ『キツい事ばかり言われたからな...あんな泣き顔なんて、見たくなかった』
またポタポタと2滴、心を蝕んだ
〔レイラ〕
走って...走って...ひたすら走った
とにかくあの場所にいたくなくて、泣き顔を見られたくなくて逃げ出した
ううん、彼に言われたことが全部真実だったから逃げ出したんだ
私は弱くて、いつも誰かにすがってばかりで、1人じゃ何も出来ない役立たず
本当にその通りだと思った...
分かってる
分かってるけど
認めたくなかった...だって認めちゃったら、私は本当に何も残らない
目から溢れそうな涙を必死にこらえて、広いバラの迷路を抜け出した
『はぁっ....はぁっ...』
息が上がって、足が震えてその場で座り込む
『私、私は...っ...』
膝を抱えて蹲ると、不意に彼の最初の言葉が過る
『忌み子...』
忌み子の黒ウサギって何...?
厄災を引き起こすって...
[アァ、ヤットヨンデクレタネ]
『っ!?だ、誰...』
突然頭に直接響くような声が聞こえ、辺りを見回すけど誰もいない
[コワガラナクテイインダヨ?ボクハキミノミカタ]
その声は小さな男の子みたいな高さで、優しく語りかけてくるけど...どこか怖かった
[カレハワカッテナイ...キミヲ"イミゴ"ダナンテバトウシテ]
『私...は、なんなの?』
[キミハボクノタイセツナ、サイコウノウサギチャンダヨ]
『答えに、なってない...』
[マァマァ、イマハソレデイイ。サテ、ボクヲカイホウシタトイウコトハ、キミニキオクガモドッテクルネェ]
『記憶...なんの』
[コレカラユックリジカンヲカケテオモイダシテクルトオモウ。スベテヲオモイダシタトキ、キミガドウナルカタノシミダ]