第76章 *第1タワー*
ルーク『普段は手袋をしているから、あまり気にかけていなかったんだ。でも君はそんな私に、"見えないところこそ気を遣うべきだ"と言ったよね』
懐かしそうに話すルークたちに、エペルは思い出したようにある質問を問いかける
エペル『そういえば、先輩たちの出会いってどんなだったんですか?オンボロ寮でその話をしてたとき、カローンが乱入してきて最後まで聞けなかったから気になってて』
ヴィル『ああ..そういえば話をしてたかしら。別に大した話じゃないわよ』
『気になる』
ユウ『黙って歩いてるのもあれなんでお願いします』
ヴィル『そう?..じゃあ話すけど。ルークとあたしが初めて話したのは入学して数ヶ月経った頃のこと。第一印象は、いいとは言えなかった..あっ、』
語りだそうとしたその時、先の方で収容所の入り口である大きな扉が見えてきたため、ヴィルは昔話を一時中断することにした
ヴィル『見て。次の収容所の扉が見えてきた』
エペル『えーーーっ!?今話し始めたばっかじゃないですか!?』
ユウ『今からいいとこだったのに』
『むぅ..残念』
ヴィル『あたしの雑談より、収容所を突破して冥府に辿り着くのが先決!..というか、期待しているところ悪いけど、本当に他愛も無い話よ?それでもいいなら、次の収容所を抜けられたら話してあげるわ』
2人の過去話にワクワクしていたのを中断されたことに多少の不満が生じた3人だったが、目の前に広がる巨大な扉を前に気持ちを引き締めて中へと進んだ
S.T.Y.Xタルタロス-収容所
中は先程と同じように赤い照明にいくつものファントムの入ったケージがそこら中に陳列されていた
ヴィル『..静かだわ。それに、さっきの収容所よりすごく寒い』
『ぁぅぅ...』
エペル『大丈夫?体がすごく震えてる』
ユウ『レイラは寒いの苦手だもんね。こっちおいで、ギュッてしてあげる』
『林檎くん、ギュッてして』
エペル『え!?あ、うん。どうぞ..』
両手を広げるユウを無視してエペルに抱きつくと、少し慣れたのかすぐに優しく抱きしめられ、頭もゆっくりと撫でられる
ユウ『さっきのことまだ引きずってらっしゃる(泣)』