第76章 *第1タワー*
ルーク『時に二人とも、グリムくんは爪のケアをしっかりしていたかい?体長50センチ前後のイエネコでも、爪のケアを怠れば、伸びた爪が不意に人間を傷つけることもある。グリムくんは体長70センチの魔獣。人間とともに暮らすなら、より一層爪のケアは重要だよ』
ユウ『なるほど。今度購買に行って、猫用..魔獣用?の爪切りを買ってみようか』
『ん』
ヴィル『ネイルケアの重要性は、獣だけでなく人間にも当てはまることね。ファッション目的ではなく、ただズボラで伸ばしっぱなしなのは論外。みっとないし、何より不衛生だわ。
指先が美しく整っているだけで、清潔感と垢抜け度が段違いよ。ユウもレイラもしっかりケアなさい』
ユウ『は、はい』
『..でもユウの爪、キレイだと思うよ』
ヴィル『あら、そこそこ短くキレイに整えてるわね。あんたも爪くらいは手入れするのね』
ユウ『まあ..』
自身の爪を見つめた後、隣に寄り添うレイラの頬を優しく撫でる
ユウ『大事な人に、痛い思いさせたくないですから』
『ユウ..?』
ユウ『ふふ、おかげでいつも気持ちいいでしょ?』
妖しい笑みに首を傾げるレイラだったが、次第にその意味が分かってきたのかみるみるうちに顔に熱が溜まっていく
『〜〜〜っ..//ユウのバカ!!』
ユウ『う"べっ!!』
照れ隠しに掴まれた両頬をぐっと後方に押しのけられ、変な呻きを上げたユウから離れると、近くにいたエペルの方へ逃げるように抱きついた
エペル『わっとと..え、なにどうしたの?』
『ぅぅ..』
ユウ『ご、ごめんね!もう変なこと言わないからこっち戻っておいで』
『や!』
ユウ『ガーン..』
思いっきり拒否されたことによりユウはその場で崩れ落ちそうになった
ヴィル『(まさか..ね)』
ルーク『ふふ、君たちは本当に仲がいいんだね。素晴らしい"友情"だ。そうだろ、ヴィル?』
ヴィル『..え?あ、そうね』
ルーク『それにしても懐かしいね。私がヴィルと親しくなって、最初に指摘されたのは指先のケアだったな』
ヴィル『だってあんたの手ときたら、弓の弦を引くときに出来るタコを始めとして。ひび割れにささくれ..とにかく荒れ放題だったんだもの』