第76章 *第1タワー*
ヴィル『くっ..その腹が立つ煽り方、本当にイデアにそっくりね』
苦渋に満ちた表情を浮かべるヴィルの言葉に、オルトは少し驚いたように目を丸くした
オルト『..そう?似てる?そっかぁ。僕、兄さんに似てるんだ。へへへ
んー、そうだなぁ。ここで終わりなんてつまらないし..君らにはもう一度挽回するチャンスをあげる。初心者用に難易度を下げて..っと』
ピッピッと操作音が数回鳴ったあと、再びゲームはスタート画面に切り替わった
オルト『準備はいい?ゲーム・スタート!』
先程よりも多少簡単になった事で、ヴィルは見事ボスを倒すことができた
エペル『やった!今度はクリアできた!』
オルト『ふーん。初心者にしてはまぁまぁのスコアかな。これならこのあとも少しは楽しめそう。いいよ、タルタロスに入れてあげる。ヴィル・シェーンハイトさんはタンク役だとして..ルーク・ハントさんとエペル・フェルミエさんはどんなジョブが似合うかな?
それから、ユウさんとレイラさんも。あっ、レイラさんは何となくヒーラーっぽいかもね』
『ヒーラー?』
ユウ『味方の体力とかを回復する役のことだよ』
『そう、なんだ』
オルト『ダンジョン攻略にあたって、パーティー内でどんな立ち回りを見せてくれるか楽しみだよ。此処から先は本物のモンスターがうじゃうじゃいる高難易度のダンジョンだ。
それじゃあ、次のステージで待ってるよ。ふふふっ!』
フワッと映像が消えると同時に、エレベーターが止まりドアがゆっくりと開いた。一行がエレベーターから降りると、最初より少し階層を下った場所、タルタロス内部についたことに気づいた
もう少し下れないかとエレベーターのボタンを押すが、まるで電源が落ちたかのように動く気配はなかった
ヴィル『ふん、本当にふざけた兄弟。見ていなさい。ラスボスを気取っていられるのも今のうちよ』
エペル『ここがタルタロスの内部..もうエレベーターは動かないみたいだし、この階段を降りていくしかなさそう』
ヴィル『管制室にいた所長の話だと..収容所の浅い層ではすでにファントムたちの凍結が解除され、動き出している可能性が高い。いつファントムと遭遇してもおかしくない。周囲を警戒しつつ、下へ向かいましょう』