第76章 *第1タワー*
S.T.X.Yタルタロス
リドルチーム・レオナチームと分かれた後、レイラたちは第1タワーへの入り口からタルタロス内部へと足を踏み入れた
周りを無機質な鈍色の壁や柱が覆い、下を覗き込むと道は螺旋状に連なり、闇のような真っ暗な奥底からはファントム達のおぞましいうめき声が聞こえてくる
ヴィル『これが..ファントム収容所"タルタロス"この大きさと深さ..圧倒されるわね』
エペル『すごい冷気が昇ってきてるのを感じる。冬の豊作村もうってさんびばって..それどはなんが違う』
ルーク『ああ、背筋がゾクゾクと凍りつくようだ..自然と体が震えてしまう。これはただの冷気ではなく、誰しもが逃げられぬ"終焉への恐怖"から来る悪寒かもしれないな』
『...ここ、や..』
ユウ『うん、嫌だよね。怖いよね。僕もさっきから足がすくみそう』
『でも、あの人たち止めないとみんな大変なことになる。それにまだやりたいこともいっぱいある。だから頑張る』
ヴィル『良い心意気よ。でも、確かに生きた人間が長居してはいけない場所には違いない』
ユウ『底が見えない..どれだけ深いんだろ。こんなところに一人でグリムが』
『早く見つけてあげないと』
ユウ『うん、そうだね』
S.T.X.Yタルタロス-非常階段
職員からもらった地図を頼りに進み、螺旋状の非常階段を歩く
石で出来た階段はあまり整備がされておらず、そこらで欠けていたり高さも幅もバラバラだった。申し訳程度に等間隔で壁に灯された蒼い炎がぼんやりと足元を照らしている
ヴィル『手に入れた地図によればタルタロスへ降りるエレベーターがこの辺りに..あった、この扉ね』
そう言って下行きのボタンを押すが、扉の奥で動く音は聞こえなかった
ヴィル『やっぱり動かない』
エペル『館内の機器は全部オルトクンのコントロール下に入ってるって言ってたし..計画を邪魔されたくないんだから、エレベーターなんか使わせてくれるわけない..かな?』
『..動いてる』
ヴィル『え?』
同時に動かなかったはずのエレベーターの周りが起動の光を灯し、機械音と共にドアが開いた
ルーク『エレベーターのドアが開いた。これは..』
ヴィル『十中八九、罠でしょうね』