第75章 *拡大デンジャー*
『『....』』
確実に見込みがあるとはいえない事を分かっている職員たちは、何も返答することができず重い沈黙が部屋に広がっていく
レオナ『救援は望み薄、本部に詰めてるのは非力な研究員が大半。頼みの綱のカローン用パワードアーマーも、魔導デバイスも、オルトに乗っ取られて動かせねぇ。
で、もうどうしようもないから、"みんなで奇跡が起きるようにお祈りしましょう"って?』
冗談じゃねぇ、と吐き捨てるように言ったレオナに賛同するようにリドルは一歩前出た
リドル『確かにボクたちはまだ魔法士免許を持たない学生です。しかし、重大事案発生時においての初動処置については学園で訓練を受けています』
ジャミル『そして..被験体として連行された俺たちは全員、オーバーブロット経験者だ』
アズール『確かオーバーブロットとは、"魔法保有量が多く、実力ある魔法士しか陥らない稀な現象"でしたよね。それはつまり、僕達が非常に有能な魔法師であることの証明だ』
ユウ『(くっそドヤ顔だ)』
『(アズさん悪い顔してる..可愛い)』
ユウ『レイラ、ここからはとっても危ないところに行くけど、覚悟はできてる?』
『ん。ここに来るときにもう出来てた。ユウこそ大丈夫?』
ユウ『不安はあるけど大丈夫。先輩たちもいるし、何より僕の隣にはレイラがいるからね』
『私も、みんなとユウがいれば怖くないよ』
ヴィル『善は急げね。行きましょうーーーータルタロスへ!』
S.T.Y.X研究所-廊下-
『いっぱいもらった』
ユウ『だね』
あれから職員からいくつか道具を手渡された一行はそれらを手に
IDカード、地図、トランシーバー、そして対ファントム用決戦アームズの起動キー
職員の説明によると、タルタロスは3本のタワーからなっていて、それぞれの最下層に特に危険なファントム"タイタンズ"が収容されている
そしてちょうど半分の階層には格納庫があり、ジュピター家がファントムを封じた際に用いた"雷霆の槍"というものがあるらしく、起動キーを使えば持ち出すことができ、魔力を帯びた強烈な雷撃でタイタンズに対抗できるという
ただし、使えるのは一度に一回。そのたびに魔導エネルギーをチャージする必要がある