第75章 *拡大デンジャー*
襲い来るはずの衝撃はいくら待っても来ず、代わりに穏やかな眠りについたような静かな時間が過ぎていく
『あれ..』
[自分は攻撃を食らうはずなのに何も起きなイ..そう思ってるんだロ?]
『ノア..私、どうなったの?』
[それは目覚めた時にあの林檎の坊やにでも聞いてみるといイ。それよりボクの言ったとおり面白いことになってきたネ]
『何が起こってるの?』
[さア?ボクは全知全能じゃないから分からなイ。ただ、キミが思っていることは多分合っていると思ウ。あのロボットくんが関係してそうダ。この施設の頂点はあの2人..だったらそのうちの誰か、あるいは両方が起こしたと考えるのが妥当だネ]
『..止めないと。凄く嫌な感じがする』
[同感ダ。面白いとは言ったけど、このままだといつもの比じゃないくらいに影響が出ル。さあ、そろそろ目が覚める頃だろうから、頑張っテ]
『ノアが眠らせたわけじゃないんだ』
[ボクじゃないヨ。それも林檎の坊やに聞けば分かル..じゃあネ]
ユウはまた夢を見ていた。コロシアムに立つ青年と死の国の王。王は青年に一日の間青年の超人的な力を自分に預けるよう取引を申し出る
断ろうとした青年だったが、王はそれを分かっていたかのように青年が恋をした美しい女性を人質にした
女性を助けるため王の取引に応じて差し出された手を握る。すると彼の力が王へと吸い取られ、青年は力をなくしその場に崩れ落ちた
そんな青年に王は言った
"良かったな普通の人間になれて。夢だったんだろ 長年の"
意識が浮上する感覚に目を閉じて暫くすると、段々と周りの音が聞こえ始めてきた
エペル『レイラっ!ユウっ!』
『ん..』
ユウ『..あ、あれ?』
同時に目を覚ました二人の目に飛び込んできたのは、心配から安堵へと変わったルークとエペルの顔だった
ルーク『良かった。目を覚ましたね』
ユウ『あれ、生きてる?』
ルーク『見てごらん』
ルークの指す先を見てみると、カローンたちが透明なガラスの棺に閉じ込められ凍りついたように動かなくなっていた
ユウ『ガラスの..箱!?』
『キレイ..』