第74章 *心境オープン*
オルトの言葉に全員が安堵の表情を浮かべる。しかし、結果を告げるオルトの声はいつもより落ちている気がした
オルト『特にグリムさんはテスト項目が多かったからね..お腹を天井に向けて大の字で熟睡中さ。君たちと合流できるのは、明日の朝この島を発つときになりそうだ』
ルーク『おぉ..一刻も早くヴィルの元気な顔を見たかったけれど、疲れているのなら押しかけるべきではないね』
ユウ『グリムに何事もなくて良かった』
オルト『そうだ。ルークさんから預かった化粧品..ちゃんとヴィルさんに渡したよ』
ルーク『本当かい!?メルシー!君たちの友情と好意に感謝を』
オルト『ううん。お礼を言うのは"僕ら"の方だよ。君たちが嘆きの島にやってきたことで、僕が生まれてきた意味がやっと掴めそうなんだ。
僕も"やれるだけのことはやった"って言えるように頑張ってみる。ゼロをゼロのままにしないように』
『...』
決意を秘めたようなイエローアンバーがゆらりと揺れ動く。しかしその瞳の揺らぎがレイラの心にざわつきを感じさせる
ルーク『ムシュー・お人形..君が掴み取る未来が輝かしいものとなるよう、願っているよ』
オルト『ありがとう。それじゃあ、また..』
そう言うとオルトは部屋を後にした。僅かな沈黙の後、エペルが口を開く
エペル『なんだかオルトクン。昼間とは雰囲気が違うような?』
ルーク『..?』
ユウ『レイラ。怖い顔してるけど、どうしたの?』
『さっきのあの子、すごい嫌な雰囲気がした。背中がゾワゾワするような..』
ユウ『それってまさか..』
『はっきりそうって言えない。でも、ちょっと怖かった』
エペル『二人とも、一体何の話?』
ユウ『うん、実はレイラはオーバーブロットの気配をなんとなく察知できるみたいなんだ』
『『!?』』
エペル『ほ、ほんとなの?』
『何となく。背中がゾワゾワして嫌な感じが広がってく感じ』
エペル『風邪みたい、だね』
『あの子見てたら、凄く危ない感じがした。何もないと良いけど』
その時、どこかで黒いインクは一気に心を染め上げ、二人の王の勤勉の精神を汚し、蝕んでいった
その淀みは宝石を濁らせて彼らの姿を変えていく