第74章 *心境オープン*
『っ、だれ?』
自分とノアしかいないこの空間で聞き慣れない声が響き、辺りを見渡すが暗い空間が続いているだけだった
[..キミにじゃないネ。だけれど、誰かを呼んでいる声ダ。とても危険な声。さあ、今にもボクの言ったことが起ころうとしていル]
『戻らなきゃ』
[うん、それがいイ。ああ、ボクとの取引のことは、くれぐれも忘れないでネ]
『..早く、返して』
[分かっタ分かっタ]
空間がぐにゃりと歪むと、意識が浮上する押し流される感覚に包まれ、レイラは身を委ねて目を閉じた
ヘカーテ地区・研究施設
『ん..』
ユウ『!!レイラ、大丈夫?僕が分かる?』
先程の空間とは違い照明の光がさす研究施設の眩しさに目を細めながら、自身を抱えて心配そうに見下ろすユウに微笑む
『ん、大丈夫。心配させてごめん』
エペル『よ、良かった。いきなり気絶したみたいに眠りはじめたから』
ルーク『体に不調はないかい?』
『ん』
小さく頷いたレイラの頭にルークの温かい手のひらが乗せられ、毛並みに沿ってゆっくりと撫でていく
顔の横まで手が降りた時、レイラは自ら頬に近づけるように顔を動かし、まるで甘えているかのようにスリっと頬ずりをした
ルーク『!!』
『なぁに?』
ルーク『いや..なんでもないさ』
『んふふ』
思わぬ行動に驚くが、また喜びを口に出せば離れてしまうかもしれないと悟り、微笑みながら頬に添えた手の親指でそっと肌を撫でる
エペル『(良い雰囲気だけど、隣のユウクンの顔がおっがなぐで見れねぇ)』
ユウ『(許さん)』
オルト『やあ、ルーク・ハントさん。エペル・フェルミエさん。ユウさん、レイラ・フィリアスさん。何か不便なことはない?』
施設の部屋の扉が開かれると、様子を見に来たであろうオルトがフワフワ浮かびながら尋ねる
ルーク『ああ、オルトくん。お気遣い痛みいるよ。おかげさまで快適に過ごさせてもらっている』
オルト『ヴィルさんやグリムさんたちの検査は全行程終了したよ。大きな異常もなく、経過は良好。今はテストによる疲労を回復させるため、各自個室で休息を取っている』