第74章 *心境オープン*
エペル『はぁ..はぁ..つ、疲れた。ユウクン足速いし何より怖すぎ』
ルーク『まるで興奮したイボイノシシのようだったよ』
『ユウ、どうどう』
ユウ『あ"〜レイラ可愛い』
暫く追いかけっこを続け完全に体力が尽きた二人はその場に座り込み、ユウはレイラに抱きしめながらあやされていた
『怒っちゃだめだよ。林檎くんにごめんなさいしないと』
ユウ『えぇ〜..』
『嫌いになっちゃうよ』
ユウ『申し訳ありませんでした!!』
嫌いという単語に素早く反応すると、目にも止まらぬ速さでエペルへと見事な土下座を見せた
エペル『いや、大丈夫だけど..(ユウクン切り替え早..)』
『ん、良い子。はい、次はユウの番ね。ギュッてして』
ユウ『喜んで』
待ってましたと言わんばかりに満面の笑顔で抱きしめると、背中に腕が回る感覚に更に笑みを深めた
『あったかい』
ユウ『僕も。はぁ..いい匂い』
甘い香りに気分を良くしながら頬にキスを落とし顔を見合わせると、愛らしい笑みが咲き誇った
エペル『完全に二人の世界ですね』
ルーク『互いの厚い信頼があればこそだね..ふむ..』
エペル『?どうしたんですか、ルークサン』
二人のやり取りを眺めながら、ふと胸の違和感を覚え服の上をグッと掴むルークに、エペルは首を傾げながら問いかける
ルーク『..いや、なんでもないよ。二人が微笑ましいと思っただけさ』
『早く..』
ユウ『ん?』
『早く、終わらないかな..』
ユウ『そうだね。早く先輩たちに会いたいよね』
膝の上で両手を祈るように組みながらユウに体を預けると、抱きしめる力が少し強まり頭を優しく撫でられる
エペル『僕もソワソワしてきた。検査っていつまで続くんだろう?』
ルーク『ふむ..確かに随分と時間がかかっているようだ。だが焦ることはない。全ての検査が終われば会えると言っていたからね』
不安な空気を払うようにルークは3人に優しく微笑んだ
『ぅ...』
ユウ『どうしたの?眠い?』
『分かんない..なんか..引っ張られて..』
突然意識が体の奥底へと引きずられるような感覚が襲い、心配するユウたちの表情を最後に、レイラは重い瞼を閉じた