第73章 *海上フライト*
ルーク『そうか..しかし、ユウくん。私は君が羨ましい。いつでも彼女と共にいられて、隣を許され、いつだって甘えられ抱きしめることができ、誰よりも信頼される。』
ユウ『先輩..』
ルーク『自信を持つといい。君は彼女の一番の理解者で、一番愛されている人さ。悔しいけれどね』
『ん...ぅ..』
ルーク『おや、ご機嫌はいかがかな?』
『..少し、落ち着いた。ありがと、ル..狩人さん』
ルーク『君の役に立てて良かったよ。さあ、ユウくんのところへ行って彼を安心させてあげるといい』
『ん』
軽く微笑んでルークの腕から離れると、ユウのところへ小走りで駆け寄りその胸に飛び込んだ
ユウ『気づいてあげられなくてごめんね』
『ううん。私が勝手にモヤモヤしてみんなに迷惑かけちゃった。私こそごめんね、ユウは悪くないの。ユウはいつだって私を分かってくれてるもん』
互いに抱きしめ合い、温もりと匂いに包まれて二人はジワジワと安心が体に染み渡るような感覚がした
エペル『とりあえずは一件落着、かな?』
『林檎くん、お腹グリグリしてごめんね。痛かったでしょ?』
エペル『えっ、あぁ、ううん。痛くはなかったよ。少し苦しかったけど、ルークサンの説明を聞いた後にレイラチャンの想いの強さがあれだと思うと、納得するっていうか..だから、気にしないで』
ニッコリと笑うと、つられてレイラの顔にも笑みがこぼれ冷たすら感じていた部屋の空気がふわりと暖かくなったような心地がした
ルーク『さて、全ての検査が終わるまで何をして過ごそうか』
エペル『映画でも見ますか?』
『..眠い』
ユウ『一息ついたら疲れが出ちゃったかな?僕の膝で寝ていいよ?』
『ん』
ルーク『なら映画はよしておこうか』
『ううん、音出してていい。今はその方が落ち着く』
ユウ『静かな空間より、誰かがいるのが分かる方がいいってことだね』
肯定の代わりにユウの膝に寝転ぶと、催促するようにユウの手を掴み自身の頭の上まで導いた
ユウ『ふふ、甘えん坊の可愛い兎さん。よしよし..』
『『(羨ましい..)』』
愛おしげにレイラを撫でる様子に、羨望と嫉妬の想いを燻らせながら、二人はそのやり取りを見ていた