第73章 *海上フライト*
『ぅ〜...』
ルーク『うん、君の苛立ちはもっともだ。溢れ出てしまうなら、私にぶつければいい』
優しく語りかける声で囁きながら優しく髪を撫でると、少しだけ胸を叩く振動が強まった気がした
ユウ『えっと..よく状況が分かってないんですが、説明お願いしてもいいですか?』
ルーク『レイラくんは今、苛立ちと焦りで心がいっぱいな状態だ。それを処理しきれずに溜め込んだせいで体調が悪くなったんだろう』
エペル『それで顔色が悪かったんですね』
ルーク『発散させようにも、ここは彼女にとってある意味敵地。下手なことをすれば自分たちに被害が被ると、先程イデアくんの髪を引っ張った時に分かった。だから今の今まで我慢するしかなく..悪循環だね。
だから、私達だけの空間になって少し自由が効く今、私に怒りをぶつけるための八つ当たりでもさせれぱ、スッキリすると思ったのさ』
エペル『八つ当たりってほどでもなさそうですけど..』
ルーク『うん!とても心地のいいマッサージのようさ!八つ当たりをしていいと言ったのにこれだけとは、君はとても優しい女性なんだね』
落ち着かせるようにもう片方の手で背中をポンポンと叩いてやると、くぐもった声で『ん〜..』と唸り声が返ってきた
ルーク『今すぐにでもヴィルたちを探して早く会いたい、ここから出て学園に帰りたい。そういう感情が君を埋めているんだろう』
エペル『すごいな、ルークサン。よくそこまで分かりますね』
ルーク『焦る気持ちは私も同じだから何となく分かるのさ。おや、トリックスター?さっきから一言も喋らないけれど、どうかしたのかい?』
いつもレイラのことになると一番と言っていいほど喋るユウが一切口を開かず静観する様子を不思議に思い問いかける
ユウ『..いや、あの..すっごい悔しいなぁって思いまして。レイラのことはこの中の..ううん、学園の中で一番理解してると思ってたのに、全然分からなくて。なのにルーク先輩は分かることができたのが、悔しい』
ルーク『ユウくん..』
ユウ『すみません、つまりはただの嫉妬です』
苦笑いしながら頬をポリポリとかくと、気まずそうに視線を床に落とした