第73章 *海上フライト*
申し訳無さそうに眉を下げると、小さな体をフワリと浮かせユウたちを先導するように進み始めた
『あの白いの、なんだろ?』
街の支柱のようにまっすぐ伸びた白い樹木のような建物に目を奪われる。するとオルトは歩みを止めずに首だけ少し振り向かせる
オルト『あれはS.T.Y.X本部。あの柱は、この嘆きの島を貫いてずーっと下まで続いてる。あの柱の下には、沢山の亡霊が埋まってるんだ。今は氷漬けにされて、みんな眠っているけど..興味本位で不用意に近づかない方がいい。
僕みたいになりたくないならね』
寂しげで、後悔の交じる声が静かに流れる。視線を下に落とすオルトの表情は後ろ姿からで分からなかったが、明らかに悲しいものだった
ルーク『ムシュー・お人形?どうしたんだい?』
オルト『何でもない。とにかく、この島には危険な場所も多いから、観光気分でウロウロしちゃだめだからねっ!』
パッと顔を上げると、「もう行こう」と少し進む速度上げた
ヘカーテ地区・研究施設
オルトに案内されたどり着いたのは、周りがソファで囲まれ中央には会議用のテーブルと椅子、奥には巨大な電子モニターがピピピと音を立てて稼働する研究施設だった
そこからは、オルトによって出された書類にサインをし、ここまで来た経緯や方法などを事細かに聴取を受けた
ルークが代表して聴取を受けているその間、ユウはソファに腰掛け、横に寝転んだレイラの頭を膝に乗せて撫でていた
挟むように座ったエペルも心配そうに見つめながら、レイラの回復を待っていた
やがて聴取を終えたオルトは、次にぐったりとしているレイラの方へ顔を向けた
オルト『レイラ・フィリアスさん、体の調子はどう?もしまだツライなら僕らの方で詳しく診察しようか?』
『や』
オルト『う〜ん..』
ユウ『(完全に警戒してるなぁ。まあ、そりゃそうだろうね。先輩たちが無事なのも本当かどうか分かんないし。もし、酷いことしてたなら、そんな人達に診察されるなんてたまったもんじゃない)』
ルーク『オルトくん、彼女なら少し休めば大丈夫さ。その気持ちだけ受け取っておくよ』
オルト『そう?ならいいんだけど..』