第73章 *海上フライト*
イデア『え、まだなにか..?』
呼び止めに半ば面倒くさそうに振り返ると、ずいっと目の前に化粧品の入ったポーチが差し出された
ルーク『スキンケア用品を忘れているよ。ちゃんとヴィルに届けてくれるかい?』
イデア『..りょ。検査が全部終わったら渡しておく』
ルーク『メルシー!自室の君!』
イデア『頼むから少しくらい空気読む努力してくれないかな..疲れるわ本当..』
はぁ、とため息一つつくと長い炎の髪を翻らせ背を向けると、上から降りてきた謎の真っ黒な機体に乗り込むと、カローンと共に飛んでいった
『おっきいね』
エペル『なんだあれ、かっけぇ!』
オルト『兄さんが乗って帰ったのはS.T.Y.X製の魔導ビークル。通称チャリオットだよ。嘆きの島の住人は、今君たちがいる地底層にある旧市街ではなく、この島を覆う外壁"オケアノス"の居住区で暮らしてる。
各種リニアレールやエレベーターは完備されているけど、飛行ビークルで移動するのが一番効率がいいんだ』
エペル『外壁..僕には空にしか見えないけど、そういえばここは海の中だもんね。海の底なのに空があるなんて、不思議..』
海の中とは思えないほど晴れ渡った晴天の空を見上げながら呟く
オルト『人間の生体は、心身ともに自然光に著しく影響を受ける。だから島内の環境も、各種最新技術によってなるだけ地上と同じ状態に保っているんだよ。外壁内に人工的な天空を再現、天候の変化や四季もある。森林や、河川なんかもね』
ルーク『素晴らしい技術だね。ここが地底だなんて、私はとても信じられない』
オルト『ふふふっ、そうでしょう?ここは地上よりずっと快適なんだから!』
『....』
ユウ『大丈夫?体ツライ?』
『..少し』
自身に寄りかかりスリスリと甘えてくるレイラを撫で、楽しそうに周りの建造物について話をしているオルトへ話しかける
ユウ『オルトくん。悪いんだけど、もう移動してもいいかな?レイラがツラそうなんだ』
オルト『あっ、ごめんなさい。つい盛り上がっちゃって..じゃあ案内するからついてきて』