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ALIVE【果物籠】

第3章 とけていく




「ご、ごめんねっ。嬉しくて…つい…」


ようやく落ち着いた楽羅が申し訳なさそうにこちらを見ていたが、すぐにムッと怒ったように口を尖らせて詰め寄ってくる。


「でもひまり!本当に…ほんっとーに心配したんだよ!私怒ってるんだよ!」


「うん…ごめん」


「連絡くらい…してほしかったよ。それに…いなくなる前に一言ぐらい…」



楽羅は引っ込んでいた涙をまた浮かべていた。




あれ?そういえば私…何で連絡しなかったんだろう…

しようと思えば出来たはずなのに

会おうと思えば会いに行けたのに…

どうして……?



自分の思考に気を取られていると、両手が温かいものに包まれた。

楽羅が私の両手を握り、目尻に涙を溜めたままニッコリと微笑む。



「でも…よかった。ひまりが…元気でいてくれて……生きててくれてて安心したよ。…もう勝手にいなくならないでよね!」



その笑顔に、胸がギュッと締め付けられるような感覚に陥った。

自己嫌悪にも似た感覚…。

私はなにに後悔していて、何に胸を締め付けられてるの?



「ひまり…?」

楽羅が心配そうに顔を覗き込んできたことによってハッと我にかえった。


「あ……ごめ…」

「楽羅姉、今から道場?早く行かないと…夾帰るかも」

私と楽羅の会話を遮ったのは

ワザとか、偶然か。

今見えている春の背中だけでは判断出来なかった。


「そうだった!夾君に会いにいかなきゃ!今度しーちゃんとこ行くから、しーちゃんとゆんちゃんにも言ってて!」


楽羅はまだ夾のことが好きなんだ…


大きくブンブンと手を振って走っていく彼女の背中を見届ける。

夾の名前が出た途端に恋する乙女の顔になった楽羅の顔を見て可愛いなぁと微笑ましくなった。



ポツ…ポツ…


「あ、降ってきちゃった…」


救世主が去り、どう答えるか考えていなかった質問を思い出し春の顔を見れずにいると、またもや救世主。


さっき悪態をついた空に救われるとは思ってもみなかった。


「と、とりあえず1回家に帰ろうっ」


ただの時間稼ぎにしかならないが、少しでも考える時間が欲しかった。

春の顔を見ないように走り出そうとした瞬間



「ひまり危ない!!」


春は血相を変えて、私の腕を思い切り引っ張って引き寄せた。



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