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ALIVE【果物籠】

第11章 徒桜



時間の経過と共に、風に乗ってひとつ、またひとつ、欠けていく。


落ちたそれは、濁り、汚れ、やがて土へと還って消える。


そうやって、過ぎていく。





毎年、それが綺麗だと思っていた。


咲き誇る姿も、花時雨で散る様も。


綺麗だと、思っていた。


移り変わる景色は、何者にも止められない。


目の前に広がる淡紅色は、一年後に見せるソレと、全く同じものに見えてもやはり違う。


過ぎていく。

移り変わっていく。

容赦なく。



穏やかで、優艶さを見せつつも。


時の流れ程、冷酷無惨なものはない。

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