第3章 とけていく
「このゲームの経験者は紅葉だけだろーが。うまく立ち回られそうだから占っといたんだよ」
腕を組んでぶっきらぼうに弁解するが、潑春の攻めは止まらない。
「最初に先生が占い師だって言い出したとき、あそこで名乗り出るのも不自然。あれだけ先生に不信感があれば吊るされるし、もし吊るされなくても占い師だと暴露したんだから人狼に噛まれる。リスクしかないのに名乗り出るなんて変デショ」
頬杖をついたまま夾に鋭い視線を送っている潑春。
そして意味がわからない、と困惑するひまり
「え、待って。じゃあ夾って…なんなの??」
「実は紫呉の振る舞いはただのヤツの性格で、本当の狂人が…そこのバカ猫」
考えるような姿勢のまま由希がそう結論付けると夾はちげーよ!と喚き、紅葉はずっと悲しそうな顔で疑いを晴らそうとしているが、はとりの声で全員が黙る。
「時間だ。吊すものを選べ」
紅葉と夾は潑春を指差し、ひまりと由希と潑春は紅葉を指さした。
多数決で紅葉が吊るされることに決定すると、夾は舌打ちし、紅葉はみんな酷いーと泣いている。
「どっちみち次で誰が嘘つきか分かンだよ。こっち側の勝ちだ」
「夾、今は私語禁止だ。全員目を伏せろ」
はとりに注意され、渋々机に突っ伏す。
……これ、最悪な方向に向かってないか…?
由希は伏せながら、今までの話し合いを思い返してみていた。
何かが引っかかるような…。
何かを見逃しているような……。
「朝だ。全員起きろ」
はとりの声に残りの生存者が体を起こす。
「今回の犠牲者は由希だ」
由希は諦めたように肩をすくめると、チラッと夾の方を見た。
勝ち誇ったように口角を上げて潑春を見ているが、由希は「アイツ馬鹿だ…」と小さく呟き頭を抱えた。
「吊るすものを話し合いで決めろ。時間は2分だ」
はとりのスタートの合図を待っていたかのように夾は潑春に指を差す。
「墓穴掘りやがったな!クソガキ!テメェの負けは決定だ!お前が嘘つきだって分かった以上、吊るされるのはオメェだ!」
村人側の勝ちを確信し、やったな!ひまり!と笑顔を向けるとひまりも嬉しそうにその笑顔に応えた。
死亡・紫呉、紅葉、由希
生存・ひまり、夾、潑春