第3章 とけていく
「あと3分」
「いやぁ、ボクのこと殺さないでよー他にいい質問あるかなぁ?」
あははーと近所のおばちゃんのように手で風をきる。が、それで誤魔化されない者が1人。
「それで…先生は?」
「え?」
潑春の問いに、とぼけたような声で聞き返すが、全員の疑いの目が既に紫呉に向いていた。
「ほんとだ!紫呉誰を噛み殺すのかーって言ってないじゃん!」
流されるところだったーとひまりが言うとあぁ。とわざとらしく掌に拳をポンと乗せる。
「僕もひまりかなぁ?だって可愛いからたべ」
「「やめろ下衆」」
冷たい笑顔の由希と額に太い青筋を浮かばせた夾の声で、最後まで言うことを許されなかった。
「あと2分」
「しーちゃん何かアヤシーよねー?」
「うんうん。確かに自分から流れ変えて、自ら出したお題に答えようとしないし、紅葉の真似してはぐらかすし…」
紅葉とひまりが話しているのを聞いて焦った紫呉が「ちょっと!ちょっと待って!」と2人の会話を遮った。
「行っとくけど、僕、占い師ですからね?吊るしちゃダメだよホント」
え?!と全員がその言葉に驚いた所に、今度は夾が割って入る。
「はぁ?!なんでオメェが占い師なんだよ!!占い師はオ…」
そう言いかけたところでバッと口元を手で覆った。
"占い師"という役職は話し合いが終わったあとの"夜の時間"に毎度1人だけ占いでその人物の役職が見れる。
占われたくない人狼からすると1番に噛み殺したい相手なわけで。
初めから自分が占い師だと言ってしまうと誰かを占う前に殺される確率が上がるのだ。
その夾の反応を見て、紫呉と夾以外の人間は満場一致で紫呉が嘘をついている。と結論付けた。
「あと1分」
「まぁ、夾って嘘つけないもんね。今の反応でどっちが占い師かは一目瞭然だよね」
ひまりがジトーっとした目で紫呉を見る。
「って事は…先生…人狼か狂人」
「嘘つきしーちゃん吊るし決定ー!これで人狼だったら村人の完全勝利ってやつだねー!!!」
あはははーと紅葉が笑うとガックリと肩を落とす紫呉。
夾も占い師だとバレた以上、紫呉が人狼でない場合、噛み殺される運命だ。と緊張した面持ちだった。
死亡・紫呉
生存・ひまり、由希、夾、紅葉、潑春