第2章 おかえり
うん。かなりヤバイ。
由希と買い物を済ませて、その帰り道。
頭痛、軽いふらつき、そして気持ち悪い。
コレ、あれだわ。軽い熱中症ってやつだわ。
完璧自業自得。
なんやかんやあって、朝ごはんしっかり食べなかった。
起きてからコップ半分くらいのお茶しか飲んでないし、そんな状態で炎天下の中2時間半程歩き続けて一切水分補給をしてないときた。
100%自業自得。
恥ずかしい。情けない。
これ何とか由希にバレないように…
「ひまり…ちょっと木陰で休もう。多分、軽く熱中症なってる」
バレてるううぅうぅぅう!!!
隣を歩いている由希に腕を掴まれ、歩みを止められると肩を落として落ち込んだ。
「ごめん…なさい…調子乗りました。自業自得なんです…」
スーパーを出た辺りから、ひまりの様子が少しおかしいような気がしていた。
隠しているようだったが荒い息、話しかけても反応が遅かったり、一瞬顔をしかめたり…
何度か大丈夫?と聞いたが笑って平気平気と答え、途中自販機で買った水を飲んでいたから勝手に安心していた。
「もうすぐ家だし、帰ってから休ませてもらうから…とりあえず帰ろう?」
赤い顔をして申し訳なさそうに言うひまりだったが、どうすべきか悩んだ。
涼しい部屋で休ませる方がひまりにとっては楽かもしれない。
無理をさせないようにペースに合わせて歩く。
こんな時…おんぶでも、抱き上げるでも出来れば良かったのに。
物の怪憑きのせいで、そう出来ない自分を呪った。
男の癖に…情けない。
玄関を開けると予想外の人物が上機嫌な顔で仁王立ちしており、一瞬由希の時が止まる。
「なんで…兄さんが…」
「あ、ごめん。言うの…忘れてた」
「よく戻ったね!マイスウィートブラザー!新婚さんいらっしゃ…」
急に話を中断して、ひまりの顔をジッと見た後にクルッと踵を返して奥に歩いて行く綾女を不思議に思ったが、今はそれどころじゃない。
「ひまり、部屋まで1人で行けそう?」
「余裕!余裕!迷惑かけてごめんね」
日射しから解放されたひまりは少し楽そうで。
階段を登っていくのを見送ってから、由希ははとりに連絡を取るため、荷物を置いて電話をかけに行った。