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ALIVE【果物籠】

第1章 宴の始まり



いつもより1本遅い電車に乗ってしまったが
駅からも全力疾走したお陰でギリギリ間に合った


と思っていたのに上履きに履き替えている途中で
チャイムが鳴り始める




「楽勝ぉーぅ!ラストスパートー!!」



全力で階段を駆け上がり、廊下を走り抜ければ
チャイムが鳴り終わるまでに教室に入れると確信し、にやりと口角を上げて走り出した


鳴り終わると同時に教室に滑り込むと

「ひまりおはよー」
「皆勤賞ギリセーフだねー」

などと友人達から声をかけられたが
まだ息が整っていなかったので手を上げて返事をする



「おい、草摩ぁー。着席出来てねーから判定的にギリアウトだぞーお前。」


担任からの言葉に、ええ?!と声を上げて
ひまりは目を見開いた


全力疾走の暑さで出た汗が
絶望で冷や汗に変わる


「私の…か、皆勤賞が……」

その場に崩れ落ちブツブツと呟いている


「まあ、遅刻理由書かせんのめんどくせーから今日だけは見逃してやるよ。だからはよ席つけ。次はねーからな草摩。」

そう言うと出席簿でひまりの頭をポンとする


その言葉にパァっと表情が明るくなり

「せんせーありがとう!大好き!!」

ニコニコで席に着くひまりを見て
はいはいどーも。と軽くあしらいながら担任は出席を取り始めたのであった








夏休みに入るので学校は午前のみで終了


友人達とファミレスでお昼を食べ
明日から会えない分存分に会話を楽しんだ

夏休みも遊ぼうねーなんて言葉を交わしてから帰路に就く



辺りはもう薄暗い
空は青とオレンジが混ざったような不思議な色になっていた




今年は何しようかなー海の家でバイトとかしたいなぁー


駅から出て家までの見慣れた道を歩いているといつもは聞き慣れない音が聞こえてきた

その音は自分の横を通り過ぎて帰る道と同じ方向に向かっていく


「消防車?近くで火事かな?」


そういえば焦げ臭い気がする


一瞬もしかして…と最悪の事態に背筋がゾッとする

いや、その他大勢がいる中で自分がこの不幸に選ばれる訳がない
まさか自分な訳がない、と早くなる鼓動を落ち着かせてアパートまで走った




アパートの前には人集り
ひまりの目の前には薄暗くなった空をも明るくする程の赤が広がっていた



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