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ALIVE【果物籠】

第2章 おかえり




まあ、確かに小学生と高校生じゃ力の差は歴然か。




「春も5年の間にだいぶ成長したんだね…」



今の彼を止めるには大人何人必要なんだろう。と心の中で思いながら言うと、その声が聞こえたらしい潑春が乱闘を中断してひまりの方を向き、ズカズカと戻ってきた。



え。と向かってくる彼を見て顔を引きつらせていると、真横に辿り着いた潑春がしゃがんでひまりの顎を指で掴み、無理矢理顔を近付けられる。



鼻と鼻がつきそうな程近くで見る潑春の目は茶色のような…角度によっては金色に見えるような、透き通っていて綺麗な瞳だった。


春の目って綺麗…


なんて場違いなことを考える。




「5年も経ちゃ、そりゃ成長もすんだろ普通。そういうひまりちゃんも色々成長してんじゃねぇの?今からお前のベッドの中でお互いのカラダの成長を隅々まで確かめ」


言いかけた言葉は、猛ダッシュで戻って来た夾に頭を思い切り殴られ、キッチンの方へと飛んでいった事で最後まで聞き取れなかった。



「暴走に…"タチの悪さ"がプラスされてない…?」


「こいつは…ブラックだけはマジで厄介すぎる…」




アレは痛そう…とキッチンに転がっている"タチの悪い"彼を見ているひまりと、格闘後のダッシュで息を切らせ、肩を上下に揺らしている夾。


一連の騒ぎの犯人である潑春は、むくりと体を起こし清々しい表情をしていて


「あー……お腹、すいた…」


なんて拍子抜けな事を呟いている。



「もー!キョーもハルも早く食べないと冷めちゃうよ!!せっかくひまりが作ってくれたのにー!!」


乱闘していた2人に何事も無かったかのようにおいでおいでとする紅葉。見た目は小学生でもかなり肝が座っているのだろう。



草摩に居た頃から思ってはいたが、やっぱり十二支メンバーは個性派揃いだ。


「ほんと…賑やかな毎日になりそう…」


そう呟き、空になった目玉焼きのお皿を流しに持って行こうと立ち上がると誰かに肩を抱かれた。



「案ずるなかれひまり!!愛しい我が弟の未来の伴侶である、見目麗しい君の聖母のような笑顔を、このボクが守ってみせるさ!」


はははは!と笑う、顔だけは由希に似ている彼を見上げた。





そういえば、また鍵閉め忘れてた。




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