第7章 ベール
「そうね…どう説明すれば良いかしら…。言わば…一獲千金…」
「覚えたての言葉使いたかっただけだろ花島。お前が本気出しゃ狙えそうだけどな」
「いえ、はなちゃん!それを言うならば千載一遇と言うやも…」
「透。お前は花島に引っ張られて似たようなの出しただけな」
「待って、そんなに凄い力なら天下無双ってのがカッコよくない?」
「おいきょん!!!ひまり入ったらあたしだけじゃ収拾つかねぇぞ何とかしろ!この無法地帯!!!」
ボケ3人に対してツッコミが1人しか居ないことにキャパオーバーしたありさが夾に加勢を頼むが、「知らねーよ。こっちに振ってくんな」と顔を歪ませたまま手をヒラヒラとさせている。
それでも、ふざけるなと言わんばかりに睨みつけてくるありさに深いため息を吐くついでに立ち上がる。
ワイワイと楽しそうに雑談を続けるひまりの頭を軽く小突くと彼女の鞄を自身の肩にかけた。
「おいひまりそろそろ帰んぞ。帰りにスーパー寄んだろ」
「えー!まだ話してたい…って鞄持っていくな鬼畜野郎!!」
夾はひまりの鞄を持ったまま教室を出て行く。
「透君!うおちゃん!はなちゃん!ごめんっまた明日色々話そうね!!」
「はい!また明日お話ししましょう」
「そうね、また明日」
「じゃーなぁ!ひまり!」
それに焦ったひまりは、透達に軽く挨拶を交わしてその後を追って教室を出て行った。
ひまりと夾のやりとりを眺めていた、先程モテたいと嘆いていたクラスメイトがポカンとした顔で同じく見送り、その後打ちひしがれたように頭を抱え出す。
「女子の頭をっ!あんなにもナチュラルにっ!触りたい!ぁあ触りたい!」
「帰んぞって言いたい!女子と学校帰りにスーパーに寄りたいっ!」
と嘆いていた。
その光景をありさは呆れた顔で見たあと、ニヤッと意地の悪い顔で笑う。
それをキョトン顔で見る透。
「ありゃきょんはガチだな」
「何がガチなんですか?」
「あら透君は気付かなかった?草摩夾のピンク電波…」
「そりゃお前にしか分かんねーだろ」
「ぴ、ぴんく…ですか?」
ふふふふ。と笑うありさと咲にこのネタで夾が弄り倒されることが確定した瞬間だった。