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ALIVE【果物籠】

第2章 おかえり





食卓に並んでいるのは、だし巻き玉子に目玉焼き、夜に仕込んでいた煮卵、味噌汁に梅干しだった。


「なにお前、卵信者か何かか?」


作ってもらっている身としては文句は言えないが、さすがに突っ込まずにはいられなかった夾。

紫呉は久々の手料理だと喜び、特に気にすることもなくいただきますと手を合わせて食事を始めている。


「し、仕方ないでしょ!昨日荷物が多くて、卵くらいしか買ってこられなかったん…だから…」

ムスッと明らかに不機嫌な顔をして言い返すが、本人的にもコレはやりすぎかなと思っていた節があり、申し訳なさげに語尾が小さくなっていく。


「夾君。文句言うもの食うべからずってね。温かいご飯が食べられることに感謝しましょう。」


紫呉に言われると「別に文句じゃねーよ」と夾も箸を取って食べ始めた。


「あ、そういえば今日ね……」


ひまりが言いかけた時、玄関の戸が開く音がして3人の視線が玄関方面に向いた。


「私見てくる!」


紫呉が立ち上がろうとしたのを止めて、ひまりは玄関の方へと足早に向かった。


玄関には紅葉が立っており、ひまりの姿を見た途端に目に涙を浮かべ始めた。


「えっ。紅葉…」

「ひまり?…ひまりーー!!!!!」


土足のまま両手を広げて走ってくる紅葉を、何の躊躇いもなく避けると、やってしまった!と顔が歪む。
紅葉はそのままの廊下に転がって行き壁にぶつかり止まった。


「も、紅葉…ご、ごめ…」


「うわーん!ひまりが避けたー!!!」


えーんと泣く紅葉にひまりがアタフタしているともう1人の訪問者が入ってきた。


「あ、ほんとにひまりがいる…鍵…開いたまま、危ないよ」


そういえば由希を見送った後の施錠をした記憶が無い。


騒ぎを聞きつけた紫呉と夾も様子を見にきた。



「あー。もみっちー!ウチ、土足厳禁だよー」

「なんだよお前等、朝っぱらから…」



さっきまで泣いてたはずの紅葉は顔を出した2人を見上げて、そうだ!と何かを思い出してニコニコで靴を脱ぎ始める。



「僕たちねー!朝ご飯まだなんだー!だからね!!ひまりの手料理食べにきたのー!」


「へ?」

ひまりはご飯が足りない…と顔を青くして冷や汗をかいていた。






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