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ALIVE【果物籠】

第1章 宴の始まり



「…で、何がどういうことなのか全然分からないんだけど。」

冷えた麦茶を自分の分とひまりの分のコップに注ぎながら由希が聞く。

紫呉が「由希君僕のコップはー?」と甘えたように言うのを自分で出せ。と冷たく返され落ち込む素振りを見せながら経緯を説明し始めた。


母親が1年前に亡くなって一人暮らししていたこと。昨日住んでいたアパートが火事によりなくなってしまったこと。たまたま通りかかった紫呉に連れられて草摩本家に行き慊人から紫呉の家に住み、高校も由希達と同じ所に編入しろと言われたこと。



慊人の名前に、由希と夾の顔が険しくなった。



「ちょっと待て。じゃあひまり。お前のその首の」「と、いう訳で!どっちかひまりの必要な物の買い物の荷物持ちについて行ってあげてねー!」


夾の言葉をまた紫呉が中断する。
さっきからこんな調子で由希と夾は苛立った。

紫呉は懐からお金を出し、ひまりのお金として預かってきたからコレを使いなさい。とひまりに渡していた。


「ありがとう。買い物は私1人で大丈夫!早速だけどちょっと行ってくるね!」

逃げるように出ていこうとするが

「待って。荷物多くなるでしょ?手伝うよ」


紫呉の態度には腹が立ったが、1人で行かせるのは心配だった由希が引き留めた。
それに聞きたいことが山積みだ。2人でなら話がしやすい。



「いやいや、大丈夫だって!女子の買い物だよ?ブラジャーもパンツも生理用品も買うんだよ?それでもいいなら」「ばっっ…かか!お前っっ!!!」


顔を真っ赤にした夾が怒鳴り、同じく真っ赤になった由希が頭を抱えている。

そんな2人の様子に紫呉はお腹を抱えてケラケラ笑っている。


「もうちょっとっ!!恥じらいってもんを待てよ!!もっとオブラートに包めよっっっ!」

「一緒に住むんだよ?そんなもん避けて通れない状況だってあるのに恥ずかしがっててどうすんのよ。」


腰に手を当てて説教するように言うひまりに、分かったからもう行けすぐ行け。と言って追い払う夾。


不服そうな顔をしながらひまりは夕方までには帰るねーと玄関に向かった。


紫呉は未だに笑い続け、由希と夾の顔も赤いまま2人とも頭を抱えていた。





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