第21章 無惨様、ヤンデレになる?
肩の傷口から爪を抜くと、今度は舌を突っ込んでぐりぐりと舐め回した。腰を掴んで深く爪を立て、再度膣を抉るように突き上げる。爪が刺さった腰からは血が大量に溢れて、シーツが赤く染まっていく。痛い、ヤバい、ぼーっとする。
ヤンデレどころの騒ぎじゃない、完全なアブノーマルプレイだ。私が鬼じゃなかったら確実に死んでるよ、こんなの。
でもこれ、こんなに激しくしてて、大丈夫なんだろうか。またさっきみたいに寝落ちたりするんじゃないの……?
……なんて、相手の心配をしている場合ではなかった。立て続けに達して、血もたくさん流しすぎて……私の方が途中で意識を手放してしまったのだ――
***
「はっ!」
気が付くと、布団を被せられていた。身体がどんより重たい。慌てて枕元のスマホを手繰り寄せると、もうすっかり夜になってしまっている。
「うわぁあ! こんな時間!」
飛び起きて部屋の様子を見ると、無惨様はとっくに服を着て優雅に読書していた。
「起きたか。鬼のくせに気絶などするな」
「無惨様のせいじゃないですか! どうしよ……明日の朝までに提出しないといけない資料があるのに!」
ベッドから這い出し、適当に着替えてパソコンを起動する。……ああもう、今晩は徹夜だ。
ていうかベッドの血、改めて見るとドン引きするな。殺人現場みたいじゃん。でも、今は洗濯する時間がない。後でなんとかするとして、今はとりあえず仕事しよう……。
涙目になりながら資料を作り始めると、無惨様は本を閉じておもむろに立ち上がった。
「食事をしてくる」
「ああ……行ってらっしゃい」
当たり前のように出掛けていく無惨様を、普通に見送る。『人間を殺して食べてくる』という意味に他ならないのに、私は感覚が麻痺してきているようだ。
「ん……?」
と、その時、呼び鈴が鳴った。一体誰なんだろうと思っているうちに、無惨様が勝手にドアを開けてしまった。