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無惨様、令和に降臨す【鬼滅の刃】

第19章 褒美をくれてやる


「そうか……鬼はみな私の呪いを解いて散り、鬼狩りどもは役目を失っていると……」
 私からの報告を受けると、無惨様は珍しく神妙な顔で黙りこくっていた。安堵したようにも落胆したようにも見える様子に、掛ける言葉がなかなか見つからない。

「どの鬼の位置も把握できなかったから滅びたものかと思っていたが……まさか呪いが外れていたとはな」
「……お望みでしたら、無惨様の代わりにあたしが探してやっつけますよ?」
「いや……近付いてこない限りは、わざわざこちらから出向く必要もないだろう」
「はい……」

 ……そうだ。無惨様はもともと、世界征服がしたいわけでもなんでもない。ただ日光を克服して、穏やかに不変の日々を送りたいだけなのだ。

「でも、もし無惨様がピンチになったら、あたしは一生懸命助けますからね?」
「当たり前だ。呪いが有効な鬼は、もはやお前しかいないのだからな」
「新しく作ればいいんじゃないんですか?」
「それも考えたが……まだ時期尚早だろう」
「ん~……」

 無惨様が渋る理由は、わからなくもない。今新しく鬼を作ったところで、無惨様に完全に従う保証もないからだ。
 私だって人間の時の記憶も消えないし、完全な支配下にあるかといえばそうでもない。
 その理由が偶発的な要因にあるのか、それとも自らが100年のうちに弱体化したせいなのかわからないことが不安なのだろう。
 今これ以上考えても仕方ないと思ったのか、無惨様はすぐに話題を変えていた。

「ところで、お前のその血鬼術……」
「あ、はい……」
「その術は、私も共に転移できるのか? それともお前だけか?」
「あー。多分、あたしにくっついてたら大丈夫だと思いますよ」
「試してみろ」
「んっ? 今すぐですか?」
「ああ。今すぐだ」
「はぁい……」

 せっかちな男だと思いつつ、私は無惨様の手を右手でぎゅっと握った。そして、適当にフォルダの中の写真を選ぶ。左手の親指を噛んで血を出し、写真に触れると、瞬く間に転移していた。
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