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無惨様、令和に降臨す【鬼滅の刃】

第18章 血鬼術


「悪かった! なぁ、お嬢ちゃん! オレは謝るぜ! だから、だから……助けてくれよぉおお!」
「『あの方』の生死が知りたかったのは、なぜ? 正直に答えて。返答によっては見逃してあげなくもないわ」
「決まってんだろ! また昔みたいに、支配されて暮らすのがイヤなんだよ! せっかく自由になれたのに、また鬼舞辻に怯えて暮らすなんてっ……」
「……そう」

 その返事を聞くと、私は『頭』に背を向けて歩き出した。いい加減眠いし服も血まみれだから、早く家に帰りたいのだ。
 家の最寄り駅の画像を適当にネットで検索し、表示する。指でも噛んで血を出して……触れれば帰れるはずだ。

「どこ行こうとしてんだよ! 話が違うじゃねぇか!」
「違わないよ。私は最初から、『返答によっては』と言った。『あの方』に仇なす者には、死あるのみ。それが十二鬼月の使命なのよ?」
「う、ぐ……」
「情報をありがとう。今回のことは報告させてもらうわね」
「待てっ! くそぉっ……死にたくな――」
 
 男の声は、途中で途切れた。全てを聞く前に転移したからだ。

「はぁ~…………」
 家の最寄りの駅に無事に到着すると、長い長い溜め息が漏れた。

 私、生まれて初めて戦ったよ。さっき偉そうにしちゃったけど、怖かったよ、死ぬかと思ったよ!
「ああもう、疲れた。マジで……」
 やっぱりこれからも、地下道を通るのはやめよう。そう思いながらも家路に就く。
 気だるい気持ちで玄関を開けると、なぜか仏頂面の無惨様が立っていた。

「うわぁっ! び、びっくりしました。どーしたんです?」
「それはこっちが聞きたい。その身なりはどうした」
「あ、ああー。これは……」
 まあ、そりゃ驚くか。スーツが盛大に破れてるし、血まみれだもんな。
「一瞬のうちに何度も離れた場所に移動していたようだが」
「あ、あたしの位置は特定できるんでしたっけ」
「そうだ。……何か、あったんだな?」
「……はい。ご報告したいことが、たくさんありまして~……」



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