第17章 有効活用してやるよ
……と、ここで、男は突然狂ったように笑い始めた。
「ひ、ひひひ……。やっぱり、そのお前の血……」
「……え?」
瞬間、男の腕が先程までとは比べ物にならないぐらい大きく膨れ上がる。避けようとしたけど間に合わず、首を羽交い締めにされてしまった。こいつ、さっきまでと様子が違う。いきなり強くなった? なんで……?
「やっぱりお前は、下弦の壱にしては弱すぎる。その血の使い方をわかってねーんだ」
「う、ぐ……」
……苦しい。首が圧搾されて、意識を失ってしまいそうだ。
「なんでこうなったか教えてやろうか? お前の血がオレの傷口に掛かったからだ」
「え……」
その言葉を聞いて、一瞬で理解した。つまり……無惨様の血が濃すぎる私の血が体内に入ったことで、こいつは強くなってしまったらしい。
「お前を喰って吸収すれば、お前の血は全部オレのものだ。オレがお前よりも、有効活用してやるよ……!」
「……!」
く、苦しい。こいつ、本気で私を取り込む気だ。こんな危険なヤツに、無惨様の血を渡すわけにいかないのに……!
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