• テキストサイズ

無惨様、令和に降臨す【鬼滅の刃】

第17章 有効活用してやるよ


「ま、テキトーに縄張り共有して仲良くやろうぜ! 鬼も、昔みたいに共喰いしなくなったことだし」
「共喰い……しなくなったって、どうして?」
「え? そりゃーお前……鬼舞辻の野郎が弱って呪いが消えたからだろ?」
「なんで……その名前を口にできるの?」
「いや、だから呪いが消えたからだって――」
 私の姿がはっきりと視認できる距離に来ると、男は顔を硬直させてぴたりと足を止めた。

「か、下弦の壱……? 新たに作られた……のか? ってことは、鬼舞辻は生きてる、のか……?」

 ……この鬼は、無惨様が知りたがっていたことを知ってる。私はそう直感した。
「あなたに、聞きたいことがある」
「あ、まあ……。教えて、やらなくもない、けど……」
 この男は、明らかに眼球の数字にビビってる。チャンスだと思った。
「今から、あたしの質問に答えて」
「お、おう……」

 それから私は、男に質問を重ね、色々なことを聞き出した。かいつまんで言うと、こういうことらしい。

 100年前、鬼殺隊に追い詰められた無惨様は、繭の中にこもって回復しようとした。
 だけどその中から無惨様が何年も出てこなかったので、鬼殺隊たちは繭の回りに大量の藤の花を置いて、彼を『封印』したらしい。
 そして……そのうちに鬼たちは少しずつ減り、残った鬼の体からは呪いが消えて自由に行動できるようになったそうだ。

「オレだってそんな目立つことしたくないからさぁ。人間のふりして、おとなしーく暮らしてたよ。他の鬼たちだってみんな同じさ。生きていくのに必要な分だけの人間しか食わなくなってさ」
「ふぅん……」

 要するにこいつを含め、鬼たちはみな100年の間に弱体化し、目立たない場所に散ったということだ。
「つまり……鬼殺隊は役割を失ったってことなのね」
「ま、そうだな。しばらくは交代で繭を見張ってたみてーだけど。さすがに100年も出てこないと、中で死んでると思って見張りもテキトーになってたんじゃないか?」
「……なるほど」

 つまり無惨様は、たまたま見張りがいない時に繭から出て、この令和の世に顕現したようだ。
/ 87ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp