第15章 無惨様、メールに返信する
「貴様は、私の勉学の時間を邪魔するのか? もう一台買えば済む話だろう」
「ええー。そんな滅茶苦茶な。来月にはあたしも仕事をいったん辞めちゃうんですよ? あんまり無駄遣いはしない方がいいかと思うんですけど~……」
「趣味の悪い服を何着も買えるのであれば、パソコンぐらい買えただろう」
「なっ……! そ、そんなこと言うなら、全部返してきますよぉっ! 今すぐ脱いで下さいっ……!」
あまりにもムカついたので、半ば叫ぶようにそう言ってしまった。だけど、すぐに「冗談だ」と頭を撫でられると、バカみたいに絆されてしまう。私ってどれだけ無惨様のことを好きになってしまったんだ、自分でもイヤになるよ。
「……もういいです。スマホを貸しますので、パソコンは使わせて下さい……」
「スマートフォンを?」
「はい、無惨様。スマホでも、インターネットはできるんですよ!」
「ほう?」
あ、これは興味が湧いた時の顔だ。使い方を教えてあげると、案の定彼は夢中になり始めた。……よし。なんとかパソコンを取り返せたぞ。
スマホをポチポチいじる無惨様を横目に、私はひたすら引き継ぎ業務を進めていく。1ヶ月後に辞めた時に、次の人が困らないようにしておいてあげないとね。