第14章 愛していると言えばいいのか?
私はワクワクしながら、無惨様が袋を開けて、中身を取り出して……着替えるのをじっと待っていた。
なのに、なのに……本当にこの男は!
「お前のセンスが、壊滅的にないことがわかった」
「んなぁっ!???」
……一着目を着てみてすぐにこんなことを真顔で言うから、ありえないぐらい大きな声が出てしまいましたよ。
「なんで!? 最初に会った時に着てた服に似てるじゃないですか! こういうのが好きなのかなって思ってたんですけど!?」
「違いもわからんか。過去の名画でも見て審美眼を養った方が良いな。よくもまあ、こんなにたくさん……趣味の悪い服を買えたものだ」
「んな~~~~!」
頭に、血が昇った。好みの服じゃなかったのは悪かったわよ。でも、言い方ってものがあるよね? 人がせっかく考えて、選んで、買ってきたのに……っ!
「もう、無惨様なんて嫌いですっっ!!!!」
「ははは、愛していると言ったり嫌いだと言ったり、忙しい奴だ」
「愛してないよ、ムカつく! 嫌いだもんーーー!」
「ちょっと抱いてやればまたすぐに愛していると言う癖に」
「今日はもうしないから! 寝る! 嫌いっ!! うわーーん!!」
……私は、泣いた。それはもう、大人げなく。
やがて癇癪を起こした無惨様に「うるさい!」と首を飛ばされるまで、その号泣は続いたのだった――
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