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無惨様、令和に降臨す【鬼滅の刃】

第14章 愛していると言えばいいのか?


 『極度の光線過敏症になってしまった』――と部長に話すと、酷く心配された。光線過敏症とは、太陽の光を浴びると皮膚に炎症や発疹が起きる病のことだ。
 実際にこの病で苦しむ人がいることを思うと嘘を吐くのは心が痛んだが、他に良い案が思い浮かばなかったのだ。

 部長は、『晴れの日は家で仕事をしてくれていいし、辞める必要はない』と言ってくれた。だけど私はそれを固辞して、1ヶ月後に退職することにした。ランチや飲み会にも行けないし、いずれボロが出ると判断したのだ。

(長く勤めた職場だったけど、仕方ないなぁ。何か家でできる仕事を探さないとな……)

 ……と、こんな感じでちょっとだけ憂鬱になっていた私だけど、帰りにデパートに寄って無惨様の服を選んでいるうちにウキウキした気分に変わっていた。切り替わりが早いのは、たぶん私のいいところだ。



「無惨様、ただいまですー」
 服の入った紙袋を大量に抱えて家に帰ると、無惨様は朝と全く同じ姿勢でパソコンの前に座っていた。まさかと思うけど……あれからずーっとインターネットをしていたんだろうか。

 無惨様はチラリと私の方を向きはしたけど、すぐにまたパソコンに目を戻してしまった。人がただいまって言ってるのに、何なんだこの態度は。

「ただいまってばー」
「聞こえている」
「…………」

 無惨様が傍若無人なのは、わかりきってたことだ。……傍若無人、つまり、傍らに人無きが若し。わかりきってたけど、今日はなんだか異様にムカついた。

(何よ。おかえりぐらい言ってくれたっていいじゃない。服だっていっぱい買ってきてあげたのに。……まあ、頼まれてもいなかったから余計なお世話なんだろうけどさ!)

「うるさい! 気が散る」
「何も喋ってませんよーだ!」
「心の声がだだ漏れだ。うるさいにも程がある!」
「だったら読まないで下さいよっ!」
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