第7章 来るなって言ってんのに
「危ないよ~。女の子がひとりでこんなとこにいちゃ~」
「そうそ。ワケあり? 俺らと遊ぼうぜ~?」
「だめ、今すぐここから離れて」
「え~? んなこと言わずに~」
一人の男が、愚かにも私の腕を引っ掴んできた。手を払って振り解くと、その軽い力だけで男は吹っ飛び、壁に叩きつけられてしまった。
「ご……ごめんなさい!」
私、こんなに強かったっけ? ……違う。鬼の力で強くなっているんだ。
無惨様の血は、少し与えられるだけでも鬼の力を飛躍的に向上させるらしい。『飢え死ぬなど許さん』と怒った無惨様の言葉の意味が、わかった気がした。
「な、なんだこの女?」
「いや、知らねーけど。マグレっしょ」
「ま、コレでも見たらさすがに大人しくなるかァ?」
……こいつら、本当に身の程知らずの馬鹿だ。残り3人の男たちは、ナイフを取り出してニヤニヤと笑いながら近付いてきた。
でも、今の私にはわかってしまう。そんな武器、なんの脅威にもならないってことが――
「へっへ。オシオキしてやらないとなぁ?」
「そーそ。こんな夜中にこんなとこにいるから、危ない目に遭うんだぜー?」
「やめて……来ないで。わたしに近づかないで……」
危ないのは、あなたたちの方だから。こうやって警告で済んでるうちに、どこかに消えてよ……!
「『来ないで』だってよ! 可愛いねぇ、そそるそそる!」
「俺もう勃ってきたわ」
「うぅ……」
お腹がすきすぎて、少しずつ正常な思考ができなくなってきた。
……本当に、勘弁してよ。一刻も早く目の前から消えて! 私には、あなたたちが新鮮な肉の塊にしか見えてないんだから……!