第5章 100年ぶりの×××
「どうしたん、ですか……?」
「いや……。やはり鬼の体は、すぐに痕が消えてしまうな。ならば――」
再度、首筋に唇を押し当てられる。今度はビリッと電気が走るような衝撃があった。
「いたいっ……なんなの!?」
あ……そうか、細胞を破壊して痕をつけたんだ。確か、与えられた記憶の中にあった。この人だけは、鬼に消えない傷を残すことができると――
私の方からは見えないけど、無惨様が恍惚とした表情で触れているその場所に、紅が刻まれてしまったのだろう。
「ふふ……白い肌に良く映える」
「ちょっと……! これ、一生消えないのっ……?」
「別に良いだろう? お前はもう、私以外の者に抱かれることなどないのだから」
「そんなっ……わたし、無惨様の、所有物なんかじゃっ……」
「違うというのか?」
「えっ……」
じっとりと目を合わせられると、また頭がぼーっとした。どんなに拒んでも、私はなぜか彼を求めてしまっている。
「いえ……。わたしは、無惨様のものでございます。ぞうぞご自由にお使い下さい。わたしの命と身体は、貴方様のお役に立ち、悦ばせるために在るのですから」
無惨様は実に満足そうに、私を見下ろしてほくそ笑んでいた。
「いい子だ、よく言った。褒美をやろう」
無惨様は私の脚をぐいっと引っ張り、自身の身体を捻る。先程までよりもさらに奥の――最奥を抉るように、それは到達した。
「んんうっ、やぁ、だめ、いくっ、あぁあ……」
今まで生きてきて、一度も出したことがないぐらい大きな声が漏れた。
ああもう、認めたくないけど、本当に認めたくないけど。無惨様って、めっっちゃくちゃ上手い!
さすがは伊達に1000年以上生きてないよね? びっくりするほど経験豊富だよね!?
たかだか数十年も生きてない私には、最初から敵うはずなんてなく。
されるがままになる中で、私はただ意識を失わないように耐えていることぐらいしかできなかったのだった――
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