第1章 小学生時代 ー三年生ー
何と返そうかすぐに思いつかずに押し黙っている俺を、みょうじさんはしばらくジッと見る。
俺が言い返さないのを見かねたのか、少しムキになって反論してくれた。
「心操くんはつまんなそうになんかしてないよ。いつも私が友達と話しているのを聞きながら頷いたりちょっと笑ったりしてくれるの、私は知ってる」
俺じゃなく彼女から反論が返ってくると思っていなかった様子の隣の男子に対して、少し優越感を覚える。
「へー、そうなの。まあいいけど。じゃあ何がしたいんだよ心操は」
「……フルーツバスケットじゃなければ何でもいいよ」
「ほらやっぱり、どうせ何でも良いとか言って人任せにすんだろうと思った」
また喧嘩腰になる俺たちを前の女子二人は苦笑して眺めていた。