第2章 小学生時代 ー四年生ー
「あー、心操くん、見て!また同じクラスになれたね!席、隣かなあ、隣が良いなあ!」
クラス分けの表を正門で受け取り、自分の名前を探していると、先に来ていたみょうじさんが声をかけてくれた。
「そうか、良かった……」
心底安心して脱力する。
広い学区域から生徒が集まるこの小学校は、一学年に四クラスもある。二クラスや一クラスがほとんどのこの地域では生徒数は多い方だ。
始業式中、男女別の名前順での整列の時にはみょうじさんは隣だった。
名前順の席なら、また隣になれるかも知れない。
俺は幸運だった。
同じクラスになれただけでも十分だと思っていたのに、席も隣だ。
「やったー!心操くんだ、心操くんだ!んー、良かったあ……」
俺と隣になれた、と言ってみょうじさんは無邪気にはしゃいでいる。
バンザイをして、ハイタッチを求められた。
パチン
可愛い音がした。
涼も同じクラス。しかし座席は遠くはなれている。
俺は途方もない優越感に浸った。
「あだなー!同じクラスだ、やったね!」
「ね、嬉しいなー!」
早速集まってきた友人たちとも可愛らしくハイタッチやら抱きしめあったりやら、楽しそうにしている。
まだあと一年は、この幸せに浸れるんだ。
俺は満面の笑みのみょうじさんの横顔を頬杖をついて眺めながら、ほころぶ口元を隠そうともしなかった。