第2章 次の段階。
『夢繰り屋』の噂を耳にしたらしい。
「夢繰り屋って、夢についての悩み相談してる
らしいやん。いつから、カウンセラーみたいに
なってるねん。」
…あ~。面倒な事になってきたか。
「まあ、お前が夢の相談に乗れるとは思わへんし、
彼女やな…。鏑木 凛ちゃん。」
…やっぱり、調べてきたか。
「恐ろしく、『普通の子』やん。
…せやのに、凄い能力持ってるねんな~。」
…誰かに聞いてきたな。
「俺も最近、変な夢見てるみたいやから、
相談に乗ってもらう~。紹介してや~。」
「また、そのうちな。」
近い内に、言われる予想は出来ていた。
そして、気のない返事。
これも用意してた言葉。
面白そうな事が好きな奴。
俺もそうやから、絶対に引き下がらない事も
予想してたんやけどな。
その時期から、翔太のしつこいくらいの
『紹介して』口撃が始まった。
どうやって断るか…。
必死に断れば、逆効果やろう。
絶対、勘ぐられる。
コイツにだけは、凛と絡ませたくない。
凛の事を知れば知る程、
興味を持って、好意を抱くであろう事は
分かってるんや。
絶対に…。
煮え切らない俺の、受け答えの末に、
直接凛に接触してきたとは…。
せっかく凛をこれ以上、
目立たせたくないのに、
お前が周りをうろつくと
凛が目立ってしまうやないか!!
直接接触も時間の問題やとは思ってたけど…
…っっ!!近いわっっ!!
「おい、翔太。何やってんねん。
ちょっとこっちこい。」
慌てて、引き離したんだ。