第3章 本音。
翔太は少々、複雑な家庭環境だ。
相談も、きっとその辺の話かもしれない。
ほんまに悪夢に悩まされてるんやったら、
何とかしてやりたい…とも思う。
俺だって、それくらいの
友達を想う気持ちは持っている。
でもなぁ…実際に行動するのは
凛なんだよ。
必要以上に人と関わらないけど、
凛は優しい。
アイツの生い立ちを聞いた上での相談事なら、
絶対に手助けするんやろう。
……手、握って…夢の中か…。
面白くねぇんだよ。
思った通りに進んでいく光景に
イライラし始めていた。
案の定、凛は
コイツの夢の中に行くと言い出した。
しかも、コイツは俺には来るなと言うし。
…俺が入れた事も聞いてきてんやん。
目の前で、夢の中へ意識を落としていく
二人を見ながら思わず本音が口をついた。
「…手、繋がなあかんって…。
だから、男の依頼は嫌なんが分からんかなぁ…」
…凛。
もう、お前の心の中に俺は居るんやろ?
もう一息ってとこやと思ってんのに、
こんなとこで翔太に邪魔させへんで。
…凛…コイツに同情するような
事があったとしても…
決して、ほだされんなよ。