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四月十日之空

第1章    



「……っ!!」


シュゥゥゥゥゥゥゥ…ッ

ガタンッ!ガタガタッ!


戸は既に固められているのか、引き戸も裏口もびくともしない。そうこうしている間にも、小刀の柄(え)からは火花と煙が勢いよく噴出してくる。

白い煙が黄土色に変わると、刺すような痛みで涙が止まらない。


「キッ!キッ!」

「…っ、クナイ…!」


小さな穴からクナイを逃がし、噎(む)せ返りながらカラクリ床の裏側へ滑り込んだ。


「ハァ、ハァ、ハァ…ゲホッゲホッ…っ、ハァ、ハァ」


上昇していく煙を避けたのは正解だったが、涙はまだ止まらない。手足の痺れはないが、喘息のようにヒュゥヒュゥと嫌な呼吸音がして、うまく息が出来ない。


(敵襲に気付かないなんて)


仮拠点とは言え、敵襲に備えていち早く気付くための装置は点在させてあった。普通ならまず間違いなくここには到達できないはずなのに。


(…おかしい、なにか………、っ!)


ゆるりと床板が軋んだ。
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