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四月十日之空

第1章    



「信長さまも人が悪い」

「不満か?」

「いいえ」


光秀の含み笑い。

信長は開け放たれた天守の窓際に立ち、離れた山間(やまあい)に上がる黄土色の煙を見ていた。


「俺が天下を治める。そのために邪魔なものは除くだけよ」

「政宗が裏切ると?」

「同盟など所詮は口約束にすぎん。俺を利用し、俺に利用されるための都合でしかない。覚えておけ」


猿も貴様も例外ではない、と冷ややかな目で光秀を射抜きながら吐き捨て、天守から出ていった。


「くわばらくわばら」


信長が見ていた景色を見ながら、誰もいない天守でひとりごちた。
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